第 68 回 (2013-04-20 開催)
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田村 進一 先生 | 津崎 実 先生 | 伊井 仁志 先生 |
世話人: 赤澤 堅造 先生
参加者: 89 名
講演内容
田村 進一 先生 ((株)NBL研究所・所長,大阪大学・名誉教授)
「興奮性媒体に発生する非線形現象とその抑制」従来,神経スパイク列は雑音状系列として,せいぜい密度変調波としか捉えられてこなかった.我々は神経部位間の通信が知能を形作るとの仮説の基に,培養神経細胞およびラットの皮質神経インパルス列を解析している.マーカー役の符号を設定し,その移動を2次元符号図として捉えることにより,時空間的多元多重通信系を構成していることが示唆された.
津崎 実 先生 (京都市立芸術大学 音楽研究科・教授)
「聴覚初期過程における寸法知覚」聴覚信号のいくつかの変数の中で周波数は環境要因の影響を受けずに音源の特性を伝達する頑健な手掛かりとなります。物理的な周波数の変化に対応した主要な知覚属性はピッチですが,それ以外に共鳴体の寸法を反映した周波数の変化についても我々の聴覚系は鋭敏な弁別能力を示すことが分かってきています。さらに哺乳類の聴覚末梢系はそのような諸変数を適切に表現可能なように進化を遂げたと考えられる一方で,振動を用いた寸法知覚は魚類のレベルでも存在していると想定可能であることが聴覚の計算理論からも推測されます。
伊井 仁志 先生 (大阪大学 大学院基礎工学研究科・助教)
「血流シミュレーション手法の開発とその医療応用に向けて」血液は動物の生命維持に必要不可欠な要素の一つであり,その生理学的な特徴はさることながら,特出すべきはその流動(血流)の力学的特徴である.血液成分中には血球細胞である直径約8ミクロンの赤血球が容積率で30-50%程度含まれており,液体成分である血漿との力学的相互作用に起因して,血流のマクロ挙動は大きく影響を受ける.本研究では,血球個体レベルの運動を取り扱える血流シミュレーション手法を紹介するとともに,医療支援を目指した応用事例を紹介する.