第 69 回 (2013-06-22 開催)
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安達 和彦 先生 | 石川 昌紀 先生 | 鈴木 康之 先生 |
世話人: 天野 晃 先生
参加者: 74 名
講演内容
安達 和彦 先生 (神戸大学 大学院工学研究科・准教授)
「脳神経外科手術支援のための力学的変形解析と手術トレーニングシステム−解析の精度評価とトレーニングシステムの評価− 」
開頭手術中に生じる脳組織の変形(ブレインシフト)を術前シミュレーションするため,脳三次元有限要素モデルを開発した.開発した有限要素モデルによる自重変形解析の定量性を評価するため,解析結果と0.5テスラのMRIで撮像した術中画像との比較を行った.比較の結果,脳表での重力方向への沈降が解析結果と術中画像で2ピクセル(約1.8mm)以内の差に抑えられることが示された.一方,脳三次元有限要素解析の別の応用として,脳神経外科手術での基本手技の一つである圧排の訓練が可能なトレーニングシステムの開発に取り組んでいる.脳幹左側に沿うように位置する神経系に対する微小血管減圧術を想定し,力覚提示装置を用いて小脳の圧排ができるシステムを開発し,専門医による感性評価を行った.経験年数が長い熟練した専門医ほど,実際の手術時の圧排の手応えと力覚提示装置で生成する手応えの差を敏感に識別している可能性が示唆され,システムの改良に取り組んでいる.
石川 昌紀 先生 (大阪体育大学 体育学部・准教授)
「ヒト身体運動中の神経筋機能東アフリカ長距離選手の強さの秘密に,神経・筋腱動態から迫る」
ヒト身体運動は,筋肉量でパフォーマンスが決定されることはなく,神経系の調整による筋・腱の相互作用が重要となる.ヒトがどのようにして速く走り,高く飛び,効率的な運動を可能にしているのか?カンガルーがホッピング速度の増加に伴って運動効率を高めると知られて以来,腱の弾性利用がパワー発揮や効率を高める上で重要な役割を果たす.今回は,東アフリカの長距離選を中心に走運動中の筋腱動態について紹介させて頂く.
鈴木 康之 先生 (大阪大学 大学院基礎工学研究科・助教)
「ヒト静止立位姿勢の間欠的神経制御モデル」ヒトの身体運動は,神経と筋,および骨格の3つのシステムが相互作用した結果として実現される.静止立位時に見られる姿勢動揺は,身体運動が柔軟な制御メカニズムを基盤としていることを示唆する.我々は,姿勢維持のための中枢神経系を介したフィードバック制御として間欠的制御を提唱している.本発表では,特に股関節の運動に着目し,間欠制御のロバスト性,および股関節の柔軟性と制御戦略の関係について紹介する.