第 106 回 (2024-04-20 開催)

世話人: 青井 伸也 先生
会場: 大阪大学 基礎工学部 シグマホール(国際棟)
参加者: 50 名

講演内容

田熊 隆史 先生 (大阪工業大学 工学部電気電子システム工学科)

「生物に倣うロボットの身体設計:柔軟要素が運動に及ぼす影響」
ロボティクスや機械工学の分野では従来,制御の難しさなどから粘弾性を有する機構要素を排除した設計が主流であった.一方で生物の身体構成を観察すると,柔軟な筋や靱帯,皮膚などを有効に活用することで従来のロボットでは実現困難な運動を実現している.本研究では生物の身体構造に倣い,粘弾性を取り入れたロボットにより発現する運動や,そのメカニズムの解析と検証について紹介する.

平井 宏明 先生 (大阪大学 大学院基礎工学研究科)

「ヒトとキカイの運動の科学」
本講演では,身体の運動制御や運動学習において本質的な以下の問いを再考する.(1) 運動制御を構成する基本要素は何か,(2) 脳は如何なる変数を操作し身体運動を実現しているのか,(3) 前記変数は脳内でどのように符号化されているのか,(4) 前記符号はどのように獲得され,保持されるのか,(5) 前記符号獲得に最適な訓練はどのようなものか.脳に潜在する驚異的な適応能力の利活用へ向けた,ヒトとキカイの関係について議論する.

増田 容一 先生 (大阪大学 大学院工学研究科)

「計算なき知能を全身に埋め込むロボットの動物化」
従来のロボット設計は単純化・離散化に基づく機械工学を源流としており,50年以上が経った今も基本的な設計法は変化していない.一方,動物の身体は極めて複雑であるが,多数の骨や,筋肉,神経の相互作用によって優れた運動能力を発揮する.動物とロボットの間には運動知能の実現方法における根源的なギャップがあり,これを乗り越えることが生工融合の次の課題の一つである.本講演ではロボットの全身に刺激応答性を埋め込み,運動機能を身体で代替するロボット構成法について紹介する.